
あなたの心のサイエンス:すやまたくじです。
今回はそんな『Dr.STONE(ドクターストーン)』の感想・考察を。
最新22話に登場した発明品や文明、科学史などをまとめました。
千空たちの凄さがより分かる解説。
動画解説:アニメ【Dr STONE(ドクターストーン)22話】トリチェリの定理や天体望遠鏡などの科学史の考察・感想(約13分)
この記事で分かる目次
Dr.STONE(ドクターストーン)22話『THE TREASURE(トレジャー)』の感想
22話はTHE TREASUREのタイトル通りの宝物探し回。
千空・クロム・マグマによる仲良し探検隊トリオ結成しての洞窟探検。
味方としてはほぼ接点がなかったマグマを加えたことで見事に科学反応が起こった回でしたね。
マグマの『お前さえ来なければ、俺が石神村のトップになれたんだ!』という心の叫びに対し、千空のその代わりに差し出すのは人類の科学史200万年という返しは熱かった。
後半ではマグマだけでなく、村人全員で千空の誕生日を祝うために望遠鏡を使ったりとか。
こういった熱いやり取りがドクターストーンがただの科学のウンチクアニメにならない面白さ、少年ジャンプで連載しているらしさが詰まっているなと思います。
あとは、マグマとのやり取りで言っていた千空の
科学文明じゃ俺らヒョロガリも必須だし、テメーみてえな筋肉雑アタマも必須だ。
なんの取り柄もねえ奴もいつかは役に立つ。
誰がボスだの一番だの関係ねえ。いろんな奴がいる=強さなんだよ
このセリフも非常に印象深ったですよね~。
これは科学というか、社会の理想が詰まっているというか、千空は科学を通してこういった世界にしたいんだろうなと想いを感じます。
千空がというか、モノづくり好きな科学者にはこういった人がもしかしたら多いのかもしれないですね。
現代はそれ以外の既得権益に群がる人がそういった社会を邪魔していますが、科学や文明が発展していけばそういった利益も薄くなっていて、最終的にはそういった世界になるんじゃないかなという可能も感じさせました。
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Dr.STONE(ドクターストーン)22話の発明品・科学史の考察
とまあ、感想はこれぐらいにして、ここからは22話に登場した発明品・科学史などの考察を。
ちなみに、千空が来る前の石神村は約200万年前の文明レベル、歴史でいうと縄文時代よりも前の紀元前の石器時代となります。
発明品によって200万年前からどれぐらい時代が一気に進んだか比較すると千空たちの凄さが分かりやすいかなと思います。
22話は探検回ということで発明品少なめだったので、見つけた鉱石や千空が使った数式などについても解説したいと思います。
雲母
雲母は変成岩、酸性火成岩などに普通に含まれる鉱物(使える石、ちなみに鉱石はいろんな鉱物が混ざっている石のこと)、つまり、そんなに珍しくはないものですね。
アニメでも解説していた通り、非常にはがれやすいのが特徴。
ただし、熱に強く電気を通しにくい性質を持っているので、絶縁体や誘電体など科学の部品としても使える石、つまり鉱物ということですね。
トリチェリの定理
千空がマグマと落ちた穴から脱出するときに使っていた数式がトリチェリの定理。
ドクターストーンの方ではトリチェリーと伸ばしてましたけど、調べてみると伸ばしていない方が多かったのでこちらでも短くした方で表記します。
僕も含めて、トリチェリの定理ってなんだよ!?と思った人も多いと思います。
トリチェリの定理とは、1600年代前半(日本では江戸時代が始まった頃)に活躍したイタリアの物理学者エヴァンジェリスタ・トリチェリが発表した数式ですね。
内容は、液体を入れた容器の側面に比較的小さな穴を空けたときの液体の流出速度を計算するための数式。
まあ、答えを聞いても数学が苦手だと、なんとなくフワッと分からないですけれどもw
ちなみに、エヴァンジェリスタ・トリチェリはあの有名なガリレオ・ガリレイの弟子でもあります。
サイフォンの原理
クロムも驚いたあの水が下から上に流れたやつがサイフォンの原理。
原理についてはメカ千空が解説していたのでここでは省きます。
身近な利用例としては灯油ポンプ、あとはダムなんかでも活用されているそうです。
もちろん、サイフォンの原理にも高さの限界があり、その辺は大気圧とか液体の比重で決まるそうです。
千空はその辺も含めて計算していたんでしょうね。
スカルン鉱床
そそる鉱石がアホほど採れる自然の作った宝箱、それがスカルン鉱床。
千空たちは洞窟内で見つけましたが、野外に出ている地層や岩石からも見つけやすいそうで。
こちらかなり貴重なもので、大規模なスカルン鉱床が発見されれば、鉱山として開発の対象になります。
タングステン
熱耐性宇宙最強の石『タングステン』
こちらは21話でも解説した通り、1900年代初頭から電球の熱線として現在まで使われている素材。
ただし、LED電球はまた別物なので、最近はどんどん出番を減らしておりますけれども。
その他にも産業用、または軍事用としても使われています。
ちなみに、タングステンは産出量が少ない上に、中国が世界の80%以上も占めている希少金属の一つです。
マンガン、黄銅鉱、閃亜鉛鉱
タングステンをゲットした後にも千空とクロムが取りまくっていたのは、マンガン・黄銅鉱(おうどうこう)閃亜鉛鉱(せんあえんこう)
マンガンはアニメでも言っていた通り、マンガン電池などの原料ですね。
南アフリカやオーストラリアで採れますが、戦前では日本でも発掘して原料として使用していました。
黄銅鉱や閃亜鉛鉱はアニメのようにスカルン鉱床などが発掘され、日本でも発掘される鉱物のようです。
ただ、現在は科学的な用途はそこまでないみたいですね。
マグマが持ち切れるわけねえだろうが!と、捨てさせたのは正解だったみたいですねw
天体望遠鏡
村のみんなから誕生日にプレゼントされて、千空を感動させた天体望遠鏡。
千空って、口では合理的と言いつつも、情に厚い男でございますからこういうのには弱いですよねw
まあ、日頃は詐欺師のように振る舞っているくせに、今回の千空の誕生日を探ってプレゼント企画を行うなど、いざという時は熱いゲンもずるいんですけどね。
しかも、千空と会う前から好意的に思っていたというエピソードも飛び出して、
ゲンこのやろう!ゲンばかやろう!このやろう!
という感じでございますけれども。
さて、天体望遠鏡に話しを戻すと、一言で望遠鏡といってもたくさんの種類があります。
例えば、現在本格的に天体望遠鏡として使われているのは1987年に作られた集合鏡望遠鏡。
ただし、これは名前からも分かる通り、複雑な作りをしているので今回石神村で作られたものとは別物。
ゲンの竹の筒にレンズ二枚入れていたというセリフから、一番古いスコットランドの数学者ジェームス・グレゴリーが1663年(日本だと江戸時代前半)に原理が発表されたグレゴリー式望遠鏡じゃないかなと思います。
ちなみに、竹筒でお手製の望遠鏡は本当に作ることができ、日本でもちょこちょこと作っている人がいるみたいです。
天文台
天文台は天体や天文現象の観測を行ったり、観測結果を解析して天文学の研究を行うための施設のこと。
先ほど紹介した天体望遠鏡が作れた1600年代から今のようなスタイルが徐々に確立されていきました。
が、天文台の歴史はさらに古く、紀元前に起こった世界四大文明:メソポタミア文明・エジプト文明・インダス文明・黄河文明の頃に天体観測が王国の威信を懸けて行われていたとも言われています。
ただし、こちらは詳しい資料が乏しいため、しっかりと残っているものでは1420年(日本では室町時代の中盤)に天文学者ウルグ・ベグが現在のウズベキスタン建設したウルグ・ベク天文台が最初となっています。
それでも、天体望遠鏡が登場するかなり前に天文台の方が先に出来ているんですよね。
ちなみに、日本では江戸時代後半にはあったとされていますが、その頃は天文台という言葉は使われておらず、天文台と呼ばれるようになったのは1888年の明治21年からとなっています。
Dr.STONE(ドクターストーン)22話の感想と科学史の考察まとめ
22話は発明が天体望遠鏡と天文台だけだったので、石と数式の解説が多くなりましたね。
23話はタングステンを手に入れたことで、再び発明ラッシュが始まるんでしょうか?