
この作品を見てダイビングへの印象が大きく変わったすやまたくじです。
今回はそんな日常+ダイビング漫画『あまんちゅ!』の感想レビュー評価・考察を。
この記事で分かる目次
あまんちゅ!とは?
- ジャンル:日常、青春、ダイビング、ファンタジー
- 作者:天野こずえ
- 掲載誌:マッグガーデン『月刊コミックブレイド』
- 連載期間:2008年~
- テレビアニメ:2016年・全12話、2期 2018年・全12話
静岡県伊豆を舞台とした少女たちの日常ときどきダイビング+青春と名言とファンタジー。
大木双葉(通称:てこ)と小日向ひかり(通称:ぴかり)の二人の少女の出会いから始まる物語。
東京から伊豆に引っ越して来たてこは、スキューバダイビングが趣味ですでにアマチュアのインストラクターもしているぴかりの誘いを受け、海やダイビングに興味を持つことに。
それをキッカケに後ろ向きだったてこの性格も徐々に変わっていく。
ちなみにタイトルの『あまんちゅ』は潜水漁師の『あま(漢字では海人か海女)』と沖縄方言で海に関わる人のことを指す『うみんちゅ(漢字では海人)』を合わせたものじゃないかなと推測します。
また、作中では『海女人(あまんちゅ)』という漢字もあてられています。
>>【試し読みOK】あまんちゅ!も含むスポーツ系漫画おすすめランキングへ
キャッチコピーは「日常ときどきダイビング。」
こちらが主人公二人が所属するダイビング部のメンバー。
左からてこ・ぴかり・1つ年上の二宮愛(通称:姉ちゃん先輩)・顧問の火鳥真斗(かとりまと)
あと、画像にはいませんが二宮愛の双子の弟:二宮誠(通称:弟くん先輩)もいます。
とはいえ、他のスポーツ漫画のように部活メインのストーリーではなく、基本となるのは学園生活やその他も含めたほのぼのとした日常もの。
なので、キャッチコピーは日常ときどきダイビングってわけですね。
日常シーンはてこやぴかりといった主人公だけでなく、その他のダイビング部メンバーもよく登場し、主人公の二人以外にメインとなる回も多い。
また、日常シーンはほのぼのと描くだけでなくコメディも随所に入れてくる。
コメディ時は上のように顔だけでなく体型もデフォルメされる。
こちらも爆笑というよりほのぼのと笑える内容になっていますね。
陸とは違う幻想的な海の世界
あまんちゅ!の一番の特徴といえばスポーツものでも珍しいスキューバダイビングを題材としていること。
この海のシーンがとっても幻想的なのですよね~
随所で上のような見開き絵などが登場しますがこの使い方や画力が絶秒で。
ダイビング素人のてこ目線では初めての感覚が存分に、経験者であるぴかり目線では海のやすらぎや魅力といった風に二人の主人公によってそれぞれ描き方も違う。
また、てこが上達してくるとぴかりとバディ(一緒に組んで潜る相手。ダイビングの世界は助け合えるように二人一組で潜るのが基本)を組んで潜ったり、ダイビング部のメンバーで潜ったりするようにもなります。
てこが初心者のうちはプールでの練習とやや地味ですが、海で活動するようになると一気にダイビングの魅力が一気に増しますね。
それと合わせてか物語の途中からはダイビング関連の話が多くなってきますし。
なかには1巻丸ごとダイビング合宿の巻などもあり、
もはやダイビングときどき日常なんじゃないのっ!?
とその巻では思ったものです(笑)
まあ、その中にも日常シーンは出てくるので日常系スポーツものといった感じですね。
本当のファンタジーはここから開幕なのです!
これは勢いよく動かした手足に反応して無数のプランクトンが仄かな光を放つ現象
蛍の光によく似た小さな緑の光の正体は・・・その名もー夜光虫!!
まっくらな夜の海でしか見られない・・・魔法の光!
他にも、海の中でのシーンはさらに幻想的でもはやファンタジーといったシーンも登場する。
この辺は他のマンガにはない独創的な世界観です。
ダイビング講座もあり
あまんちゅ!ではなくダイビングについて詳しく解説されているのも特徴。
キャラのセリフでサラッと解説されるだけでなく、画像のようなダイビング講座が展開されることもあります。
序盤は初心者のてこに合わせて基本的なことを、物語の進行と共にちょっとツッコんだ内容のものも出てくるようになります。
漫画で分かりやすく解説してくれるので知識がなくても理解しやすい。
ちなみに海に潜るときの姿ってどんなイメージがありますか?
僕は黒の全身タイツみたいなのを着て、背中に酸素タンクを背負って目にでっかいゴーグルという感じ(世代によってイメージは違うかもしれませんが)
それが今ではこんなお洒落なデザインのスーツもあるようで。
また、僕が全身タイツみたいなものと思っていたものはスーツと呼び、内部に水が浸入する夏向き用のウェットスーツと侵入しない冬でも潜れるドライスーツの2種類があるそうです。
もちろん、ただデザインがお洒落なだけではありませんよ。
この辺りもダイビング講座でしっかりとその機能が解説されています。
それに加え、新しい器具が登場したときに古い器具との比較も。
前のタイプ(全身タイツ)ではレギュレーター・オクトパス・コンパス・残圧計・BCDといった色々な器具が必要とややこしく邪魔くさいのですが、
デザインがお洒落な新しいタイプではタンク以外のこれらを一体化することに成功。
テクノロジーの進化はダイビング業界にも着実に訪れています。
とまあ、こういった色々な情報が分かりやすく描かれているため、スキューバダイビングに興味がある人なら難しい専門書を読むより、こっちを読んだ方がとっつきやすいんじゃないかなと思えるレベルです。
ときどき青春も
ほのぼのとした日常とダイビングだけでなく、青春も入ってくる。
この辺も他の学園ものやスポーツものであるような熱いドラマや感動というより、優しくポジティブな内容を明るくといった感じですね。
熱血や劇的ではなく、あくまで日常生活の一部であるように。
すぐに「無理だ」「できない」と思ってしまう自分とはこれで もうおさらばだ!
人は過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられるんだ!
ただし、セリフに関しては青春ドラマばりのくささ最高潮なものがよく飛び出してくるので要注意w
特にてこと真斗先生は要注意人物ですね。
てこはポエミーな心の声をよく漏らし、真斗先生は青春いっぱいのくさいセリフを恥ずかしげもなく言うので(笑)
そんな青春セリフが飛び出したときの周りとたまに言った本人は、
いやっいやっいやーーーん♡
と赤面して恥ずかしがるのはお約束。
アニメ版と原作漫画を比較
- 放送期間:2016年・全12話、あどばんす(2期)2018年・全12話
- アニメーション制作:J.C.STAFF
- スタッフ:佐藤順一、カサヰケンイチ、佐山聖子、赤尾でこ、伊東葉子
- キャスト:ぴかり・鈴木絵理、てこ・茅野愛衣、姉ちゃん先輩・大西沙織、真斗先生・伊藤静、弟くん・梅原裕一郎
アニメ版:第1期のストーリーは原作コミックスの1~4巻を、2期あどばんすでは5~10巻の話をピックアップして構成。
ただし、原作とは一部時系列が違うエピソードもあり。
1期では6巻のエピソードを入れてきたり、2期の第1話では6巻と8巻のエピソードを入れてきたりと。
1期は比較的原作に近い構成ですが、2期では新入生が早く登場するなどよりアレンジが大きいですね。
絵柄に関しては元々の原作漫画がうまいこともあり、アニメとの大きな差は感じませんね。
色と動きが付いたぐらいといった感じで。
アニメでもパロディシーンでのデフォルメ絵はしっかりと再現。
2期のあどばんすでは最近の流行の影響か、原作よりもグルメを強調し、飯テロシーンも入れてきました。
あどばんすの前に放送されていた女子高生のゆるいキャンプを描いたアニメ『ゆるキャン△』でも飯テロは話題になっていましたし(ゆるキャン△は原作でもそういったシーンがありますが)、山の次は海!といった感じで当たるかもw
ただ、マンガでの白と黒をうまく使った幻想的なシーンが色が付いたことで失われてしまっているのはざんねんですね。
>>あまんちゅ!を含む日常系アニメのおすすめランキングを見る
あまんちゅ!の独自評価・考察
色々な要素が合わさった独創的な世界観。
漫画では珍しいスキューバダイビングというスポーツを扱っているのもそうですが、それ以外の日常や青春シーンもオーソドックスなものとはどこか違う。
そんな雰囲気を感じさせる作品です。
ここからはそこに突っ込んで評価・考察していきます。
何気ない日常を幻想的に
ダイビングシーンや海の中も幻想的ですが、日常の何気ないシーンも幻想的に切り取っているのも本作の魅力。
例えば、花火のような普通にあるイベント事とか、
または電車の窓から見える紫陽花(あじさい)といったさらに何気ない日常シーンまでも。
こういった誰でも一度は経験することにも特別感がある。
日常の何気ないシーンでも自分次第で楽しめるといったメッセージを感じるような場面です。
さらに幻想的なファンタジーも
海の中や日常シーンにも幻想的な場面が登場しますが、さらにファンタジー要素を強めた場面も登場します。
その代表的なのがアニメ2期『あまんちゅ!~あどばんす~』のPVにも登場する魔女のようにホウキに乗って空を飛ぶシーン。
もはやこれは非日常なファンタジー。
他にも、ファンタジーな世界に迷い込むといったお話も登場。
最初はこういった話は一切ないのですが、途中からたまにこういったエピソードも入ってくるようになり、また違った面白さを見せてくれる。
もちろん、急に漫画のジャンルが変わるとかではないので安心してください(笑)
このファンタジーへの入り方もあまんちゅ!らしいですね。
青春&人生の名言が満載
上の青春の項目でも少し出てきましたが、あまんちゅ!には名言や人生訓も何気にたくさん出てきます。
1巻に数回は出てくるようなレベルですね。
ここではその中でも特に印象に残った名言や人生訓を紹介します。
泣いても笑ってもあっという間の高校三年間
どうするかは主役の君達次第勉学に励むもよし 部活に精を出すもよし ひたすら遊び倒すのもOK!
一番大切なのはこの学び舎で三年間君達自身が毎日を楽しむことです
「楽しい」は最強っ
「楽しい」は正義っ
そして「楽しい」は無限大!
真斗先生が高校入学時のあいさつで生徒にかけた言葉。
僕も学生時代はこんな先生が担任だったら良かったのになと感じさせるシーンです。
何でもいい 何だっていい
とにかくまずは動くことだ実際 何かを始めるのに「抱負」とか「決意」とか「がんばる」とかあってもなくてもいいんだ
動かなきゃ何も変わらない 動けば何かが変わる
動けばかならず何かに出逢えるんだ
自分探しに答えを出したてこに対して真斗先生がかけた言葉。
教師&青春好きということで真斗先生は名言や人生訓をたくさん提供してくれるキャラクターですw
このままじゃ真斗先生の名言ばかりになりそうなのでここからは他のキャラクターのものも。
わたしの頭(おつむ)のメモリー容量が限られているんですっ
だから幸せになることにしか使えませんし そのためならどんな労力も惜しみません!
いつも楽しそうだと言われたぴかりが答えたセリフ。
ぴかりの名言は直感的でポジティブで青春。
そんな名言や人生訓が多いですね。
嫌いだったわ・・・いや 嫌いになろうとしてた
何か あんたに双葉を取られちゃう感じがして嫌だったの・・・でも ぴかり・・・ウルトラ イイ奴じゃん!
私もさすがに命の恩人は嫌いになれません
つーかあれよ 何か気付いちゃったのよねぇ心に芽生えたイガイガは淋しがっても取れるワケじゃない―――
ぴかりを嫌いになったって取れるワケじゃないもんね
てこの引っ越し前の親友:ちづるがてこ(双葉)とぴかりの仲に嫉妬していたことをぴかりに対して告白するシーン。
これは人間関係だけでなく全ての嫉妬に通じる名言ですね。
嫉妬を誰かや自分にぶつけたところで嫉妬心がなくなるわけじゃないという。
これを高校生で気付くなんてどんな子よっ!?と軽く衝撃を受けました(笑)
―――うん いいね
上手に自分を受け容れているじゃないか!…知ってるかい?
俗に言う短所とかコンプレックスとかいう奴はね上手に受け容れることができれば 立派なチャームポイントになるんだよ
変わりたかったけど変われなかった、でもどうせ変われないんだったらそういう欠点を上手く利用してやろうと思うようになったと言うてこに対してぴかりのおばあちゃんがかけた言葉。
さすが経験豊かの人物が言う重みのある人生訓。
ダイビング部のメンバーと比べると登場回数が少ないおばあちゃんが存在感はバツグン。
あと、名言とは関係ないですが若い頃のおばあちゃんの姿もちょいと衝撃でしたw
・・・今しかね
できないことってあると思うのほんの少しでも大人になったり技術が身に付いたらできなくなっちゃうことってあると思うの
私達は まだ未熟な高校生かもしれないけれど・・・
今のあなたにしか表現できないことを見てみたいなって・・・
お姉さんはつい思ってしまうんだ!
てこが後ろ向きな発言をする後輩のことりに自分を重ねて言った言葉。
後ろ向きでネガティブな発言が多く、どちらかというと相手に励まされることが多かったてこも1年で大きく成長したことを感じさせるシーン。
また、てこの名言には弱さを自覚する上での名言が多いのが特徴。
そこに共感する読者も多いですね。
他にもまだまだたくさんの名言や人生訓が詰まっています。
名言だけでランキングも作れそうなレベルですね。
ニーズがあればそういったランキングを作るのもいいかもw
あまんちゅ!のひとこと感想まとめ
あまんちゅ!は日常とダイビングの両方でファンタジーを感じられる作品。
あと、ポジティブになれる名言が多いのも特徴。