
この作品を観た後はじんわりと温かさが残るすやまたくじです。
今回はそんなこびとのファンタジー世界の日常を描いたアニメ『ハクメイとミコチ(略称:ハクミコ)』の感想レビュー評価・考察を。
目次
ハクメイとミコチとは?
- ジャンル:ファンタジー、日常
- 放送期間:2018年・全12話
- アニメーション制作:Lerche
- スタッフ:安藤正臣、吉田玲子、岩佐とも子、Evan Call
- キャスト:ハクメイ・松田利冴、ミコチ・下地紫野、コンジュ・悠木碧、セン・安済知佳、鰯谷・松風雅也
- 原作:マンガ『ハルタ』・樫木祐人
こびとたちの日常生活を描くファンタジー。
舞台は山間の街マキナタ。
その外れの森に住むこびとのハクメイとミコチ。
そんな二人を中心に描く穏やかで愉快、たまに事件も起こる物語。
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9cmのこびと目線で描いた世界
こちらが本作の主人公となるハクメイ(右)とミコチ(左)
ハクメイはボーイッシュなことから男性と勘違いする人もいますが、どちらも20代前半の女性で体長9cmの小人。
普通の人間とは違うこびとならではの目線で描いているのがこの作品の最大のポイント。
人間から見ると小さい植物や果物なんかもハクメイやミコチから見ると大きく、人間から見ても大きい木や岩なんかはさらに大きく見える。
ちなみにこの世界では通常サイズの人間は存在しないようです(アニメ版では一切登場しない)
動物や昆虫などはそのままの見た目で擬人化
ハクメイやミコチの世界では動物や昆虫も擬人化されていて普通に会話できるのも特徴(植物は擬人化されていない)
動物や昆虫はそのままの姿をベースに擬人化されています。
リスやネズミなどの小動物は上の画像のようにこびとに近いサイズで。
タヌキや狼といった中型動物は画像のようにこびとよりも大きいサイズで。
そのままの姿がベースとはいえ、口で喋ったりするのでちょっと人間っぽいです。
昆虫はこんな感じ。
こちらは動物以上により昆虫という雰囲気。
見た目もそうですが口や目の差が大きいですね。
昆虫も口の部分を動かして喋る場合もありますが、動物以上に人間からかけ離れていますし。
動物と比べるとこちらは最初は喋っているのがシュールに感じました(笑)
こびと・動物・昆虫が共存する心温まる社会
自然豊かなハクメイとミコチの世界ですが弱肉強食といったことはなく、こびと・動物・昆虫が仲良く共存している。
ハクメイとミコチが住むマキナタのように多くのこびと・動物・昆虫が暮らす街なんかもあります。
そこで社会を形成し、商売を行うなど仕事にも就いている。
また、別の動物同士の夫婦なんかも存在します。
ちなみにハクメイは修理屋や大工の仕事を、ミコチは保存食や日用品を作って商店に卸しており料理や裁縫も得意。
身体の大きな動物や昆虫は荷物やこびとなどを乗せて移動する運び屋として活躍しているキャラクターもいますね。
逆に小さい昆虫の場合は逆にハクメイ達が頭の上に乗せて移動する場合もあり。
この辺も人間社会にはない大きくサイズが違うもの同士が共存しているからこそ起こる出来事。
このリアルはもちろん、フィクションの中でも屈指の優しい世界観がハクメイとミコチの最大の魅力です。
ハクメイとミコチの原作マンガ版とアニメ版を比較
- 作者:樫木祐人
- 掲載誌:エンターブレイン『Fellows!』⇒KADOKAWA『ハルタ』
- 連載期間:2012年~
アニメでは原作5巻までのエピソードを映像化。
飛ばしているものや順番を入れ替えている話もありますが、内容はおおむね原作の通りですね。
絵柄もアニメと漫画で大きな違いはなし。
マンガの最初の頃は絵柄がちょっと違いますが、それも2巻でほぼアニメのようになっています。
ただし、アニメ版では小さなものから大きなものまで様々な演出が施されているという違いがあります。
色々なパターンのコマ割り演出に加え、過去の話をするときはフレームを付けてセピア調にするなど写真のような雰囲気を出している
大ショックを受けたときは画像のような演出が飛び出すこともw
また、エンディングにも仕掛けあり。
その回のエピソードにちなんだ小ネタを文字と画像で解説(原作でも1ページのコラムで解説)してくれる。
優しい世界観にあったエンディングテーマ『Harvest Moon Night』のリズムに乗せて流れるこれらの小ネタが余韻を楽しませてくれます。
ハクメイとミコチの独自評価・考察
ほのぼのとした世界観に深みがある大人ストーリー。
絵柄は児童向けのような感じなのですが内容は大人向け。
ハクメイとミコチはそんなオンリーワン的な作品。
ここからはオーソドックスな児童向けアニメや大人向けアニメとの違いを解説していきます。
何気ないことを面白く
この作品では劇的なドラマが起こるわけでも大冒険に出るわけでもありません。
現実でもありそうな日常を描いています。
仕事をしたり友達と会ったり旅行に行ったり釣りをしたりと。
こういったエピソードをほのぼのと淡々と描く作品は他にもありますが、ハクメイとミコチではそれらとは違う独特の世界観がある。
心温まる優しくファンタジーな日常という世界観が。
それが上の画像のような友達とお茶をするだけという何気ないシーンを面白くする。
日頃がのんびりとしている影響もあり、たまに起こる騒動なんかはちょっとした事件にもなる。
街のいざこざといったそんなに珍しくないイベントなんかでも。
もちろん、それもギスギスして終わるのではなく、しっかりと心温まる展開で締めてきます。
いざこざよりもむしろそれが終わった後の仲直りのイベントや飲み会が本番であるかのように。
大人が楽しめる生々しい話題やキャラクターでありながら、終始優しい世界観を失わない内容となっています。
道具へのこだわり
ファンタジーな世界観でありながら現実的な道具が多数登場するのも本作の特徴。
ハサミや調理器具といった日用品から墨ツボや爆弾といったちょっと変わったアイテムまで。
さらに蒸気機関車も登場するなど小人たちの文明はある程度進んでいるようです。
ちなみに道具が多数登場するのは原作者がこだわりがあるから。
道具は感覚的に登場させているが、判断がつかない場合は1900年代前半レベルの文明を基準にしているとのこと。
ただ、どうしても出したい道具の場合は矛盾点に目をつぶることもあるそうです。
胸に染みるエピソードの数々
見た目も雰囲気も子供向けのようでありながら、むしろ大人の方が楽しめる一番のポイントは胸に染みるエピソードが多いからでしょうね。
別れや旅立ちといった分かりやすい感動的なエピソードから、
そりが合わない二人がいがみ合っていく様から共同作業を行っていくうちに不器用ながらも徐々に距離を詰めていく様や、
仕事での失敗に打ちのめされたり逆にうまくいって周りから褒められることで喜びを爆発させるシーン、
家族とのホロリとくる人情話やお酒の席でのちょいとしんみりするシーンなど、むしろ子供には伝わりづらい大人だからこそ楽しめるエピソードが多い。
この辺は見た目とのギャップが大きい作品ですね。
また、ファンタジー世界らしく付喪神などのちょっと不思議なエピソードも登場します。
他にも魔法っぽい研究なども登場しますが、厳密にそれが魔法や奇跡といったものなのかは明言されていません。
画像の大切に使い続けた道具に付喪神が宿るエピソードはこのアニメの中でも屈指の名シーンの一つですね。
ハクメイとミコチのひとこと感想まとめ
ハクメイとミコチは特別な冒険をしているわけでもなく劇的な演出や仕掛けもないけれど、観た後にじんわりとした温かさを残すオンリーワンな作品。