
興味がないスポーツでも漫画だとけっこう読むすやまたくじです。
今回はそんな作品の一つのバドミントン漫画&アニメ『はねバド!』の感想レビュー評価・考察を。
目次
はねバド!とは?
- ジャンル:スポーツ(バドミントン)、学園
- 作者:濱田浩輔
- 掲載誌:good!アフタヌーン
- 連載期間:2013年~2019年・全16巻
- テレビアニメ:2018年・7~9月・全13話
刹那で勝負が決まるバドミントンの世界。
舞台は神奈川にある強豪でもなければ弱小でもない北小町高校バドミントン部。
そこに一人の天才が現れたことでコーチ・部員、そしてもう一人の才能に火を付けることとなる。
>>【試し読みOK】はねバド!も含むスポーツ漫画おすすめランキングへ
大会出場も危ういバドミントン部の前に現れた一人の天才
辞めましたコーチ
全員 今日辞めました
北小町高校バドミントン部のコーチに新たに就任した立花健太郎。
さっそく張り切ってコーチ業に取り組んだら、練習が厳しすぎると8人が一気に退部。
結果、女子4人・男子2人と男女共に団体戦にすら出場できない状態に追い込まれてしまいます。
ちなみに、バドミントンの団体戦はダブルス2試合・シングルス3試合の最小5人・最大7人制(一部の試合は同じ人が出てもOK)
新主将の荒垣なぎさもコーチに反抗的と部は内部分裂寸前。
そんな時に出会ったのが部活動に参加していないのに天才的な運動神経を持つ羽咲綾乃。
嫌がる羽咲に無理矢理バドミントンをやらしてみるとこちらでも天才的な動きを連発。
羽咲…バドミントン部に入ってくれ
お前は異常だ
異常な天才…
さっそくバドミントン部に勧誘するもバドミントンは嫌いと頑なに拒否。
あきらかに経験者の動きでさらに天才的なのに、なぜバドミントンを嫌いになってしまったのか?
そんな謎を抱えつつもコーチの羽咲勧誘は止まらない。
ちなみに男子部員はほとんど描写されることがありません(笑)
やる気がない天才にライバルが火を付ける
デンマークユース代表
高校生にして数々のタイトルを総なめにした天才―――コニー・クリステンセン!!!
嫌がる羽咲になんとかやる気を出させようと強豪校との合宿に無理やり拉致w
そこで出会ったのがすでに世界で結果を残しているスタープレーヤー:コニー・クリステンセン。
そして、そんなコニーと羽咲がダブルスで対戦することになった。
最初はやる気が出なかった羽咲ですが、コニーが羽咲の母親のことを持ちだしたこと、さらにダブルスのペアを組むことになった副主将の泉理子のサポートによってやる気を出していく。
ちなみにこの副主将はバド部のまとめ役で励まし上手。
羽咲だけでなく、主将の荒垣もサポートするなどこの作品のヒロイン的なポジションも務めていますw
そんな泉のサポートもあって、序盤は圧倒的されていたコニーに徐々に反撃していく。
そこで垣間見える羽咲の天才性と狂気。
コニーとは違う…相手が圧倒されるとかそういうんじゃなくて
何かヤバイ感じっつーか…
はねバド!はスポーツ漫画ではよくある主人公が努力して徐々に結果を残していくパターンではなく、天才少女のその強さとルーツに迫っていくのが序盤のストーリーとなっています。
はねバド!のアニメ版と原作漫画を比較
- 放送期間:2018年・7~9月・全13話
- アニメーション制作:ライデンフィルム
- キャスト:羽咲綾乃・大和田仁美、荒垣なぎさ・島袋美由利、泉理子・三村ゆうな、コニー・伊瀬茉莉也、志波姫唯華・茅野愛衣
アニメ版の見所の一つはバドミントンの試合でのアクション。
この動きに関してはさすがの一言。
試合風景などはリアルのバドミントンの動きに近い。
リアルに近づけようという気合が入った仕上がりとなっています。
原作マンガの迫力ある1枚絵もいいですが、アニメ版のテンポの速い試合展開はまた別物です。
ただ、荒垣の強烈スマッシュなど、原作での大ゴマシーンなどはもっと漫画的でよかったかなと思います。
そして、もう一つはアニメと原作漫画の違い。
アニメでは原作漫画1~7巻途中(3巻までのコメディエピソードはほぼカット)までを映像化。
原作マンガとは違うアニメならではのもう一つのはねバド!
アニメ版では原作マンガをベースに大胆にアレンジ。
県大会に続く大筋のストーリーは同じですが、綾乃のバドミントン部への入り方や関わり方、荒垣の序盤の性格など原作とはかなり違います。
また、綾乃の幼馴染であるエレナとのり子の立ち位置もかなり違う。
エレナは原作よりも出番が多く、のり子は幼なじみではなく高校で新たに知り合った友達に変更。
さらに性格もアレンジされているなど、ストーリーだけでなくキャラの設定にも変更を加えられているものも(薫子など原作とほど同じなキャラもいます)
大筋の流れは同じながら全く違う物語。
この手法により、1粒で2度美味しい作品になっていますね。
ストーリーの方は県大会の団体戦は描かず、個人戦を軸に決勝まで描きました。
結果、この大胆アレンジが賛否両論。
特に最初は可愛らしかった綾乃が魔王モードと呼ばれる闇落ちした点に否定の意見が集まりましたね。
ただ、これは原作漫画よりも時期を早めただけ(アニメでは個人決勝を軸に逆算して設定した結果)
なので、両方を見てる分にはそこまで違和感はありませんでしたね。
逆にスポ根要素を高め、綾乃や荒垣以外のキャラにもスポットを当てた人間ドラマを強化したことにより、薫子などのライバルはより光ってましたし。
試合展開は原作漫画と同じながらドラマ性を強めたのがハマり、薫子戦はアニメ:はねバド!の中でも屈指の名エピソード回。
そして、もう一つ。
石澤と荒垣の試合も原作以上に盛り上がりましたね~
原作ではただの同年代だった二人がアニメでは同じ中学出身のライバルに。
これによってドラマ性がかなり強まりましたから。
ここまでが描かれた8話まではアニメ改変賛成派だったのですが、9話からほぼオリジナルのコメディや別の部員の話をメインに持ってきた点は否定派ですね。
別にコメディや別の部員のエピソードを入れるのは構わないのですが、それによって準決勝の熱さが一旦クールダウンしてしまったので。
ここは原作漫画の通り準決勝と決勝を続けて行って欲しかったですね。
>>【漫画版試し読みOK】はねバド!も含むスポーツアニメおすすめランキングへ
はねバド!の独自評価・考察(ネタバレ注意)
うまい絵で女の子とバドミントンの魅力を描きつつ、設定と仕掛けでアクセントを付けている作品。
評価をまとめるならこんな感じですかね。
ここからはそこに注目して感想や考察を語っていきます。
ちなみに、作者:濱田浩輔(はまだこうすけ)の前作は週刊少年ジャンプで連載(新装版のコミックスは現在連載しているアフターヌーンコミックスから)していた幽霊との恋愛を描いたラブコメファンタジー『パジャマな彼女。』
2012年に連載していたのでこの頃のジャンプを読んでいた人なら絵柄でピンとくるかもしれませんね(僕もそのパターン)
こちらの太郎丸美也子(たろうまるみやこ)はパジャマな彼女。にも出ていたスピンオフキャラ。
また、はねバト!の1巻ではその『パジャマな彼女。』の読切版が収録されています。
リアルなバドミントン描写
はねバド!の最大の魅力は絵のうまさですね。
女の子が可愛いだけでなく、それを活かしたバドミントンの試合シーンも迫力がある。
キャラは魅力的だけど、試合シーンの迫力やスピード感があまり感じられない作品も多いですからね~
止まっている状態と動いている状態では全然描き方が変わってくるということでしょう。
はねバド!ではそんな心配なし!
バドミントンのスピード感だけでなく、技を繰り出した時はスローな演出で刹那的な空間を創り出しているのが熱い。
この辺が試合を盛り上げ、さらにバドミントンのリアル感を出している。
また、技を繰り出したときやバドミントンの専門用語や戦術が出たときは周りがしっかりと解説。
競技バドミントンを知らない初心者でも分かりやすい。
まあ、この辺はスポーツ漫画などではよくある演出ですねw
他にも、バドミントンにはテニスのように短いインターバルがあり、そこで作戦を立てたり戦術を練り直したりすることも。
ノートを使って分析する上の画像のような姿はテニス漫画『ベイビーステップ』を思い出しますね。
もちろん、試合中も選手自身が戦略を立てたり変更したりする心理描写もあり、この辺がさらに競技性を高めています。
天才にコンプレックスを抱くもう一人の主人公
はねバト!の主人公は異色の天才:羽咲綾乃ですが、もう一人こちらの荒垣なぎさという選手が副主人公的な存在となっています。
正直、最初は天然で徐々に狂気を開放(下の項目で解説)していく羽咲はあまり共感できるキャラクターではない。
プレーも守備力重視で天才的な運動神経でなんでもこなすって印象ですし。
逆に荒垣は全国レベルの実力を持ちながらも過去の羽咲との対戦で完敗したことで物語序盤はスランプに。
そんな過去を振り払うため、練習に練習を重ねる姿はまさにスポ根の王道。
最近のスポーツ漫画の主人公に天才型が少なく、努力型が多いのはこういったシーンに感情移入しやすいというのがあるのでしょうね。
そして、そのトラウマを跳ね除けるために避けて通れないのが元凶となった羽咲との対戦。
県大会で行われる荒垣VS羽咲の試合はこの作品のベストバウトの一つ。
熱い試合展開はもちろん、試合を通して過去を払拭し、さらに精神的に逞しくなっていく荒垣の姿はスポ根主人公そのもの。
もちろん、羽咲の方の心理描写も描かれていますが、そんな主人公を喰うほどに荒垣の方が魅力的に描かれています。
バドミントンの戦い方も羽咲とは真逆の大きな身体を活かしたパワー重視の攻撃型。
ハマったときは目で追うことも困難なジャンピングスマッシュを武器に押しまくるスタイルも熱い。
どんなスポーツにも共通することだと思うのですが、守備重視よりも攻撃重視の方が見ていて楽しいですよね。
4巻から作風がガラリと変わる
はねバト!は最初はコメディタッチのゆるいスポーツものと見せかけて、4巻(正確には3巻終盤)から熱いスポ根展開とガラリと作風が変わる。
最初は上の画像のような明るく楽しくって感じだったのですが、途中から下の画像のようなバチバチな展開になってくる。
さっきの画像とこっちの画像を比較したら同じ作品とは思えないレベルの変化ですよね(笑)
選手の表情なんて全然違うし。
この変化の大きさはギャグ漫画からプロレスバトル漫画に変わった『キン肉マン(8巻から変化)』や同じくギャグ路線から本格格闘マンガに変わった『喧嘩商売(6巻から変化)』を思い出すレベル。
はねバト!で一番変化するのが主人公の羽咲。
最初は天然ぽわぽわでバドミントンもやる気なかったのに、スポ根モードに入ってからは性格も顔も別人のよう。
それまでたまに見せていた狂気の方がメインになってくる形ですね。
ゲスい表情や言動もガンガン増えてくるなど、
もはや別人じゃないっ!?
とツッコミたくなるレベルの変化ですw
アタシは
日本一の選手になる…!!!
また、スポ根モードに入ってからは試合の描写も大きく変化します。
それまでは激しい試合でも女の子の可愛さ重視って感じの絵柄でしたが、スポ根モードに入ってからは可愛さよりも熱さ重視といった絵柄にチェンジ。
荒垣の咆哮や羽咲の狂気やゲスい顔はもはやカワイイとは言えませんねw
が、それが熱くてイイ!
スポ根漫画好きなら4巻までは絶対に読んで欲しい。
逆に可愛い女の子たちのゆるいスポーツものが読みたい人は4巻からは好みに合わないかも。
はねバド!のひとこと感想まとめ
はねバト!は最初は可愛い女の子のコメディを展開し、4巻以降は熱いスポ根に変化する作品。
そして、そのスポ根展開に入ってからがかなり熱い!