
昔のアニメや漫画はゴツゴツした男臭い世界観が大好物なすやまたくじです。
今回はそんな昭和のヒット作の一つ『あしたのジョー』とそれを原案とした『メガロボクス』の感想レビュー評価・考察まとめを。
目次
あしたのジョーとメガロボクスの関係性
あしたのジョーとは戦後最大のヒット作と呼ばれたボクシングをテーマとしたスポーツ漫画とそれを原作としたアニメ。
細かい理論よりもボクシングにかける熱い男達のドラマと名勝負が魅力の作品。
メガロボクスはそんなあしたのジョー50周年(アニメではなく原作マンガの方)を記念してジョーを原案として制作されたアニメ。
このページではこの二つをまとめて、それぞれの魅力や共通点などを紹介していきます。
あしたのジョーとは?
- ジャンル:スポーツ(ボクシング)、格闘
- アニメ放送期間:1970~1971年・全79話、第2作 1980~1981年・全47話
- アニメーション制作:虫プロダクション
- キャスト:矢吹丈・あおい輝彦、丹下段平・藤岡重慶、力石徹・仲村秀生、白木葉子・西沢和子、サチ・白石冬美
- 原作漫画:週刊少年マガジン 1967年~1973年・全20巻、原作・高森朝雄(梶原一騎)、作画・ちばてつや
あしたのために命を燃やせ。
街で喧嘩や悪さを繰り返す不良少年:矢吹丈(やぶきじょう)
ボクシングジムの経営がうまくいかず、多額の借金を抱えることになり酒に溺れる丹下段平(たんげだんぺい)
二人の出会いから始まる物語(ちなみに丹下段平の後ろにいるのはマンモス西)
ジョーに天性のボクシングセンスを見出し必死に口説く段平だが、ジョーはその気持ちを利用して小遣いを巻き上げる始末。
そんなジョーも少年院に送られ、そこで終生のライバル:力石徹(りきいしとおる)と出会ったことでボクシングに本気に打ち込むこととなる。
強くなるぜ…おっちゃんの期待にそえるようにな。
力石にも…負けねえよ!
熱いライバル達と名勝負を繰り広げる
あしたのジョーと言えば、ライバル達との熱い戦い。
正直、古い作品ということもあって、今のリアル系の作品と比べるとボクシング理論やルールは大味。
が、それを補って余りある魅力的なキャラクターとの名勝負があしたのジョーにはあるのです。
ここでは、その中でも特にインパクトが強い3人のライバル達を紹介します。
おわった…。なにもかも……。
ジョーの最大のライバルにして主人公以上の人気を誇った力石徹。
今でこそ主人公以上に人気があるライバルは珍しくありませんが、あしたのジョーが連載&放送されていた1970年代~80年代では珍しい存在。
しかも、その人気は社会レベルで、作中で力石が亡くなったときはリアルでも葬儀が行われたほど。
そんな力石の経歴は、天才ボクサーとして圧倒的な実力を示すも、試合中に野次を飛ばす観客をケガさせてしまったことで少年院送りへ。
そこで出会ったジョーを完膚なきまでに叩きのめしたことで本気でボクシングへと向き合わせるキッカケを作った人物でもあります。
また、単純に強いだけでなくカリスマ性もあり、さらにジョーと戦うために過酷な減量(本来のウェルター級の66kgからジョーがいるバンダム級の53kgまで)も行う熱い漢。
中盤まではこの力石とジョー、二人のための物語と言っても過言ではありません。
日本を立つ前にもう一試合、試合がしたい。
その相手の名は…ジョー・ヤブキ…!!
無冠の帝王と呼ばれるベネズエラ出身の天才ボクサー:カーロス・リベラ。
普段は陽気な性格の女好きといった感じですが、試合となるとその天才的なテクニックを見せる。
ただうまいだけでなく、反則である肘打ちをレフェリーに気付かせないで放つなどの狡猾さも併せ持つ。
一見すると、ノリが良い口が達者な兄ちゃんかと思いきや、内に熱い闘志を秘めていたキャラクターでしたね。
力石とは性格もファイトスタイルも違うジョーの強力のライバル。
また、強さだけでなくパンチドランカーの怖さも見せつけた。
このカーロスの結末がジョーの将来にも暗雲をもたらしました。
あの稲妻みてえだったパンチがこんなになっちまって
フィニッシュなど決める必要はないよ、カバレロ。
ジョー・ヤブキはすでにもう死んでいる。
キング・オブ・キングスの異名を持つメキシコが誇るバンダム級のスーパーチャンピオン:ホセ・メンドーサ。
コンピューター付きファイティングマシーンと呼ばれる正確無比なテクニックに加え、クレバーな性格でキッチリ仕事をこなす職人。
さらに、一撃必殺のコークスクリューパンチも持っており、パワー面でのレベルも高い完璧超人。
ジョーとの試合でも前半は余裕を持って終始圧倒するも、中盤以降からはつかまり、その狂気的なスタイルに精神的に削られていく。
また、あしたのジョーをよく知らない人はジョーの最後の相手は力石と勘違いしている人も多く(2011年に公開された山下智久主演の実写映画でも出番はなかったですし)、その強さの割には意外と知名度が低く、その最後も含めて色々な意味でちょっと可哀想なキャラクター。
ちなみに僕は世代的に、ホセ・メンドーサを見ると同じボクシング漫画『はじめの一歩』に出てきたリカルド・マルチネスを思い出します。
同じメキシコの華やかな経歴を持つスーパーチャンピオンで同じく精密機械のようなテクニックとパワーを併せ持つファイトスタイルが似ているのですよね。
伝説に残る名シーンや名言も多数
あしたのジョーと言えば、忘れてならないのが名シーンや名言の数々。
丹下段平の『立て!立つんだジョー!』など、50年以上経っても他のマンガやアニメでもパロディとして使われるものも多い。
ここではその中でも特に印象に残っている3つを紹介。
燃えたよ、燃え尽きた、真っ白にな・・・。
原作漫画とアニメ『あしたのジョー2』のラストシーン。
これは有名ですよね。
未だにパロディなんかでもよく使われますしw
ラストマッチの後での真っ白に燃え尽きたの名言と共に流されるこのシーン。
これで終わるもんだからジョーが死んだのかどうかで当時は大きく物議を呼んだようで。
それまでのジョーのセリフを振り返ると命の炎を燃やし尽くして死んでしまったとも考えられるし、全てを出し切って満足して目をつぶっているだけとも取れるシーン。
これだけ盛り上がっただけにもはや作者から真相が語られることもないんでしょうね。
ひじを左わきからはなさない心がまえで、やや内角をねらい、えぐりこむようにして、打つべし!打つべし!打つべしー!
これもセリフを変えて未だに他の漫画やアニメなどで使われる名言の一つ。
あしたのために その1『左ジャブ』のくだり。
丹下段平が少年院にいるジョーに宛てた手紙の内容が始まり。
その手紙に書かれた内容を実践する時、また上の画像のように実戦で左ジャブを使用するときにも口出して言うためいくつかのバージョンがあります。
ジョーがボクシング技術を覚えた最初の一歩。
あ・・・開けろっ・・・
開けてくれえっ・・・
開けるんだっ・・・、
み、水をくれえっ!
み・・・水・・・
水はどこだっ・・・・・
ジョーの他で名言や名シーンが多いのはやはり力石。
特にジョーと戦うために過酷な減量を行ったシーンは有名です。
こちらもたまにパロディなどで今でも見ますね。
元々は絞った状態で66kgだった力石がそこからさらに13kg絞って53kgまで減らすのは至難の業。
あとちょっとの減量がうまくいかず最終的に水まで断ってしまいます。
その時に突発的に水を飲んでしまわないよう個室に籠り、全ての蛇口には画像のように針金を巻く徹底ぶり。
が、減量に耐え切れなくなり、上のセリフのような狂乱状態に陥ることになります。
それでも最終的には踏み止まり見事ジョーとの対戦を実現。
そして、そんな状態でありながら名勝負を繰り広げたことで感動を呼びました。
この減量シーンがジョーとの対戦を盛り上げ、力石の人気をさらに確固たるものにしたのは間違いないでしょうね。
あしたのジョーの感想・考察・評価まとめ
あしたのジョーはボクシングを通した名勝負と熱い人間ドラマが楽しめる作品。
あと、これから見るならマンガもアニメも話数が多いので、まずはテレビ版を再編集した劇場版から視聴するのがおすすめ。
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メガロボクスとは?
- ジャンル:メガロボクス(近未来ボクシング)、SF
- 放送期間:2018年・全13話
- アニメーション制作:TMS/3×Cube
- キャスト:ジョー・細谷佳正、南部贋作・斎藤志郎、勇利・安元洋貴、白都ゆき子・森なな子、サチオ・村瀬迪与
- 原案:あしたのジョー
とどまるか、抗うか― あしたを、選べ。
おめえは地下じゃ強すぎんだよ。
賭けにならねえボクサーは誰からも望まれちゃいねえのさ。いいか 明日のためになんて俺達にはねえんだよ。
余計なこと考えてると…おめえ死ぬぜ
主人公:ジャンクドッグは非合法の地下闘技場のメガロボクサー。
そこで圧倒的な強さを持つもののセコンドである南部贋作(なんぶがんさく)から八百長試合を強いられる日々に嫌気が差していた。
そんな時、表の舞台で最強のメガロボクサーと呼ばれる勇利(ゆうり)と因縁が生まれ戦うことに。
勇利に完膚なきまで叩きのめされたジャンクドッグは決意する。
メガロボクス世界王者決定戦メガロニアに出場することを。
おっさん前に言ったよな。
俺の実力は本物だってよ。
ハッタリだってことは知ってるよ。
けど信じてみてえんだよ。
信じた自分ってやつをよ。もう一度勇利と試合がしたい。
俺をメガロニアに出してくれ
ジャンクドッグ=矢吹丈、南部贋作=丹下段平の雰囲気を十分に感じさせるキャラクターと関係性ですね。
特に南部贋作は同じく眼帯ぽいものを付けるなど見た目もかなり近い。
近未来なのに昭和感
舞台は近未来
ギアと呼ばれるパワードスーツのようなものを身に付け、ボクシング以上に激しい格闘技メガロボクスが行われている世界。
ギアはパンチ力のみをアップさせるだけでなく、身体能力全体をアップさせるので攻撃力以外も上がる仕組み。
これにより、ノーギアのボクシング以上にエキサイティングな試合が行えるというわけです。
そんなSF感も漂う設定ながら街並はどこか昭和的。
最近のSF世界といえば、現実のAIや機械の発展も取り入れた高度な街並が描かれることが多いですが、そんなの関係ねえ!と言わんばかりの独自路線w
街頭のテレビに人が群がるなんて、
力道山の時代かっ!?
といったあしたのジョーが連載されていた1960年代・70年代の雰囲気があります。
メガロボクスの観客も昭和のボクシング会場にいるような荒々しいおっさんが中心。
すでに3DCGがバンバン使われている2018年の作品でありながら、絵柄も敢えてセル画を意識した作り。
どこまでも昭和のあしたのジョーを意識した世界観となっています。
あしたのジョーを彷彿とさせるキャラやシチュエーションが満載
メガロボクスは世界観だけじゃない。
あしたのジョーを彷彿とさせるキャラクターやシチュエーションもバンバン出てくる。
先に紹介したジャンクドッグと南部贋作のキャラクターややり取りはもちろん、それ以外にも盛りだくさん。
まずはメガロボクスの最大のライバルとなる勇利は力石徹をモチーフとしたキャラクター。
公式に発表されているわけではありませんが、主人公の関係性やこの見た目からまず間違いないでしょうw
普段の見た目はそれほどでもないですが、このアップになった時の顔や大きく特徴的な目の感じなんかはかなり似ています。
そして、メガロボクスの開催者である白都ゆき子(しらとゆきこ)は白木葉子(しらきようこ)をモチーフとしたキャラクター。
どちらもライバルである勇利や力石のスポンサー的な存在、そして大企業『白都コンツェルン』と日本有数の大富豪である『白木財閥』のお嬢さまという点も同じ。
白都ゆき子に関しては南部贋作並に普段から見た目に近い雰囲気がありますね。
あとはあしたのジョーの項でサラッと触れたマンモス西をモチーフとしたポチョムキン東など、脇役をモチーフとしたキャラも何人か出てきます。
こちらは名前も見た目も遊び心が効いているキャラですね(笑)
マンモス西は友人としてセコンドとしてジョーを助ける存在ですがポチョムキン東は敵として登場。
とはいえ、マンモス西も元々は敵でしたし。
他にもジョーを慕うサチ(メガロボクスではサチオ)を筆頭とする町の子供達なんかも登場します。
あしたのジョーを感じさせるのはキャラクターだけではない。
昭和の雑踏とした街並はもちろん、主人公が所属するジムも画像の通り。
橋の下にあった『丹下拳闘クラブ』を彷彿とさせる場所とボロさがありますねw
前のめりになるな!後ろに逃げるな!前に5、後ろに5だ!
その構えをてめぇの体にたたき込め!
明日のため…明日のためだぜ。前に5、後ろに5だ。
今がどんなに辛くてもその姿勢さえ崩さなけりゃ必ずおめえの明日はくる
そして、あしたのジョーの名言を彷彿とさせるセリフも随所に織り交ぜてくる。
中でも、あしたを絡めたものが多いですね。
メガロボクスのあしたのために その1は左ジャブならぬ『構え』
メガロボクスの感想・考察・評価まとめ
メガロボクスはあしたのジョーを知らなくても楽しめるけれど、知っていると細かいオマージュにも気付けてさらに楽しめるアニメ。