
2016年もっとも面白かったマンガが喧嘩稼業のすやまたくじです。
今回はそんな喧嘩稼業の感想レビュー評価・考察について。
この記事で分かる目次
喧嘩商売・喧嘩稼業とは?
ヤングマガジンで連載されているルールなし、喧嘩で戦ったときに最強の格闘技を決めるがテーマ作品。
プロレス・ボクシング・柔道など一般的な格闘技の陽側、軍隊格闘・古武術・喧嘩師などの一般的ではない格闘技の陰側。
この陰と陽を混ぜたノールール・ワンデイの陰陽トーナメントで最強を決めようということ。
ちなみに、2014年連載開始のこの喧嘩稼業は第二部で陰陽トーナメントが開催されるまでの第1部が『喧嘩商売(2005年~2010年)』として刊行中です。
なんでもアリの邪道格闘漫画
陰と陽を混ぜるといった時点で勘付いている人もいると思いますが、この喧嘩稼業(もちろん喧嘩商売)は王道的な格闘マンガではありません。
特に喧嘩商売のときは喧嘩で戦うことも多く、さらに正式な試合でもルール無用、もしくはそれに近い状態で戦うことがほとんど。
格闘家によっては卑怯と言われるようなこともバンバン仕掛けてきます。
が、そこが王道とは違うおもしろさがあるのですよね~。
主人公が一番の卑怯者
そんな卑怯な悪役と主人公は正々堂々と戦う!・・・なんてことはありません。
というより、主人公の佐藤十兵衛が全登場人物の中でも一番卑怯ですね。
しかも、厄介なことにただ卑怯なだけでなくIQも高い策略家。
他の作品の悪役キャラがよくあるその場その場の卑怯な攻撃だけでなく、時間をかけてじっくりとハメるというパターンも使いこなすからやらしい。
嘘をつくのは当たり前、自分の手を汚さずに敵同士を潰し合わせる、泣き真似で命乞いして油断させる・金的や指折り・試合開始前の不意打ちなどなど。
ルール無用の喧嘩のときはもちろん、最低限のルールがある公式戦でも反則負けにならないようにこういった攻撃を仕掛けてくる。
まさに卑怯の王様!
同じく卑怯なことを平気で行う悪役キャラから、
『こんな卑怯なヤツ初めてだぜ』
と言われるほど。
それに対して
『そんなに褒められると照れるんだけど』
と返す性格。
こんな主人公みたことないっ!?
ファイトスタイルも容赦なし
卑怯なだけでなく、ファイトスタイルも容赦がありません。
指折り・睾丸潰し・腕を折り・目つぶしなどを平然と行う
残虐超人も真っ青の容赦のなさです。
これに加えて、策略や不意打ちなども入ってくるので、相手はたまったものではないと思います。
しかも、よく見る悪党のように痛めつけることで喜んだり、わざと手を抜いていたぶるといったことは一切せず、淡々と最大限の攻撃を繰り出していきます。
そのため、こちらも漫画でよくあるパターンのように、手を抜いて痛めつけているうちに相手が復活して逆にやられる!
・・・といったパターンも十兵衛にはありません。
悪役以上に卑怯な男・・・それが佐藤十兵衛です!
実は佐藤十兵衛は卑怯ではなかった?
上でさんざん卑怯だと言ってきましたが、実は佐藤十兵衛は卑怯ではなかった。
少なくとも本人はそう思っているようで。
というのも、喧嘩稼業の作中でこんなことを言っていたから。
初めから存在しない平等を求めてどうする。不平等ならそれを利用しなくてどうする
陰陽トーナメントに参加している格闘家は佐藤十兵衛より全員が実力も才能もある選手ばかり。
そんな相手にまともに立ち向かっても勝てるはずもありません。
正々堂々というのなら、実力も才能も違うのに同じ条件で戦うのはおかしい。
実力も才能も違う者同士を同じ条件で戦わせる。
平等に見えて実は不平等じゃないか!と、十兵衛は言いたいのかもしれません。
世の中には平等に見えて不平等なことはたくさんある
格闘技の世界だけでなく、世の中には一見平等に見えて実は不平等なことはたくさんあります。
それでも正々堂々と立ち向かうことが美しい・・・こんなものは力がある強者の勝手な理屈!
弱者はまともに立ち向かっても勝てない。
勝つためにはそういった倫理観を打ち破り、工夫する必要がある。
まさに不平等ならそれを利用しなくてどうするですね。
勝つためには不平等は嘆いている暇なんてないのです。
でも、性格は意外とおちゃめ
卑怯・容赦なし・倫理観もなし・・・これだけ聞くと、物凄い悪党に思える佐藤十兵衛。
ただ、性格は意外とおちゃめなのですよね。
日常シーンでは隙があれば笑いを取りにきます。
喧嘩稼業になってからは減りましたが、喧嘩商売の頃は格闘シーンでも笑いを狙うこともあった貪欲ぶりでした。
特に周りのおっさん達と絡むときは面白いですね。
それもあって、意外と格闘シーンが全くない話のときもけっこう楽しめます。
しかも、少年マンガの主人公的な熱いところもある
しかも、おちゃめ以外にも少年漫画の主人公的に熱いところもあるのですよね。
激闘を繰り広げた敵にトドメを指すシーンでは、認めた相手だから死んでほしくないと願う場面も。
卑怯・容赦なし・倫理観なしの十兵衛ですが、自分が認めた相手には一定の敬意を払います。
まあ、だからといって手加減をしたりはしないのですが・・・。
必殺技もアリ
リアルタッチの格闘マンガかと思いきや、必殺技なんてものもあります。
その一つが『煉獄』という連続攻撃の必殺技。
1発目が決まれば、後は反撃不能・倒れることすらできない
という必殺ぶり。
十兵衛には他にも必殺技があり、さらに敵にも必殺技をもったキャラクターが。
こういった必殺技が格闘シーンをより魅力的にしています。
心理戦や普通の格闘だけよりも、こういった必殺技があった方が熱い展開になりますね。
決め台詞もあるよ
他にも、少年漫画のような決め台詞なんかもありますし。
強い敵と出会ったときや格闘シーンで熱い展開になったときに言うセリフ
『燃えるぜ』
がそれですね。
もともとはライバルの決め台詞でしたが、喧嘩稼業になってから十兵衛も言うようになりました。
おっさん達のギャグシーンも意外と面白い
他にも意外と侮れないのがおっさん達のギャグシーン。
特にアラフォー世代のおっさん二人はギャグシーンで欠かせない存在です。
男にしか伝わらないギャグややり取りをバンバン行ってきます。
特におっさん世代をターゲットとしたようなものが多い。
『この総合力の高さ、マジで趙雲 超えてるんじゃね』
などですね。
総合力の高さ=趙雲なんていうのは、初期の三国志(無双じゃない方)をやった世代にしか伝わらないでしょう(笑)
こんなやり取りをアラフォー世代のおっさんが頻繁に行っているのが笑えます。
二人の掛け合いはもちろん、十兵衛と絡んでも面白い!
喧嘩商売・喧嘩稼業のひとこと感想
王道格闘漫画と違い、純粋な強さで勝負が決まらない邪道格闘マンガ、普通の格闘漫画とは全然違う面白さが詰まっています。
あと、お笑い部分も意外と秀逸ですよ(笑)