
この作品は1話目の衝撃が大きかったすやまたくじです。
今回はそんなダークファンタジー漫画『魔法少女サイト』の感想レビュー評価・考察を。
目次
魔法少女サイトとは?
- ジャンル:魔法少女、ダークファンタジー
- 作者:佐藤健太郎
- 掲載誌:秋田書店『Champion タップ!』⇒週刊少年チャンピオン
- 連載期間:2013年~
- テレビアニメ:2018年・全12話
ファンタジーに救われたその先はさらなる過酷な運命が待ち構えていた。
主人公の朝霧彩(あさぎりあや)は中学2年生。
学校ではひどいイジメを家では兄からひどい虐待を受ける毎日。
そんな毎日に絶望していたそんなある日、魔法少女サイトから魔法のステッキを受け取ることになる。
絶望していた日常からの突然の開放。
が、これがさらなる悲劇の始まりだった。
>>【試し読みOK】魔法少女サイトも含むファンタジー漫画おすすめランキングへ
凄惨な日常を送る心優しい少女の物語
主人公の彩は勉強や運動はイマイチだけど、常に他人を気遣い、捨て猫の世話などもする心優しき少女。
が、コミュ障なことで周りと溝を生み友達ができず、
それがキッカケとなり性悪な女子グループから執拗なイジメを受けていた。
さらに家では父親との問題でストレスを抱える兄から苛烈な暴力を受け続ける。
家にも外にも救いがない。
そんな毎日に絶望し、死が頭によぎる…。
神様…
どうして私だけにこんなにひどい仕打ちを与えるのですか・・・?
魔法少女サイトと出会ったことで人生が変わる
不幸だねー不幸だねー
そんなキミに、魔法の力を与えよー。
当サイトから魔法のステッキをお送りします。
使うも使わぬもキミ次第
それでは楽しい魔法少女ライフを
そんな人生に絶望していた彩の前に突然現れた謎のWEBサイト『魔法少女サイト』
その管理人がサイト越しに画像のように話しかけてきて、不幸な君に魔法のステッキを送ると言う。
次の日、学校の下駄箱に魔法のステッキが入っていた。
魔法少女としてさらに過酷な非日常が始まる
魔法少女になったことで今までの不幸は全部終わり。
その力を使って幸せになる…というわけじゃないのがこの作品の特徴です。
魔法を使った悲惨な結末
彩は魔法のステッキを手に入れてすぐに使用することになります。
いつもの学校のイジメがさらにエスカレートし身の危険を感じたためです。
結果、上の画像の1話目の冒頭へと繋がります。
自分を守るため、そして魔法のステッキを使ったらどうなるか分からなかったとはいえ二人の人間を殺してしまうことに…。
魔法の力は幸せを運んでくるどころか、罪悪感というさらなる不幸を運んでくることになります。
魔法を使う代償は命
しかも、管理人からはなんの説明もなかったですが、魔法を使うには代償が存在します。
その代償とは自分の命。
魔法を使うと髪や瞳が変化し、目や口からわずかな出血し身体にダメージも与える。
さらに左手首や首筋といった身体の一部に現れる紋章が少しずつ消えていき、これが全て消えると命がなくなってしまう。
不思議な力と寿命が等価交換。
まさにハイリスクハイリターンな力です。
他の魔法少女の悪意
ムカツク奴 嫌いな奴 法を犯す奴 暴力を振るう奴 自分の欲望の為に他人を傷つける奴
自分に対して実害があると認識すればみんな消してしまえばいい
魔法少女は彩の他にもたくさんいて、その条件はなんらかの不幸に見舞われている少女。
そんな少女たちが魔法という特別な力を手に入れたら…。
彩が最初に出会った魔法少女:奴村露乃(やつむらつゆの)みたいに考える女の子が出て来ても不思議じゃないと思うのですよね。
ましてやその不幸の原因が人的被害だったら…。
復讐、または復讐とまではいかなくても何かしらの仕返しを考えてもおかしくない。
魔法少女=善人ではないとう点が王道的な魔法少女作品との大きな違いです。
魔法少女狩り(マジカルハンター)
イッラ~
何でこいつ今からぶっ殺されるってのに上から目線なんだよ
死ねやこのブスがッ
悪意を持った魔法少女の究極系がこのマジカルハンター。
他の魔法少女を殺害し、魔法のステッキを奪うのが目的。
魔法少女はそれぞれ持っているステッキが違い、使える魔法や目の紋章なども違います。
で、ステッキを奪えば別の人でもその魔法を使うことができる。
つまり、マジカルハンターとは複数の魔法が使える凶悪な敵。
マジカルハンターに命を狙われるため、魔法を使わないで寿命を減らさずひっそりという生きることさえ許されないのです。
人類滅亡?謎のテンペスト
奴村が彩に教えてくれた『テンペスト』
魔法少女サイトからこの画面に行けるがこれがなんなのかは分からない謎の存在。
テンペストは訳すと『嵐 暴風雨』といった意味。
数字が減っているカウントダウンの残りは約1ヶ月後。
このテンペストは奴村は『人類滅亡』かもと冗談めかして予想しています。
間近に迫るマジカルハンターの脅威に加え、1ヶ月後にテンペストという謎の脅威も抱えることになります。
アニメ版と原作漫画を比較
- 放送期間:2018年・全12話
- アニメーション制作:production dóA
- キャスト:朝霧彩・大野柚布子、奴村露乃・茜屋日海夏、潮井梨ナ・鈴木愛奈、穴沢虹海・芹澤優、雫芽さりな・山崎はるか
アニメ版のキャッチコピーは、
これは、魔法の力を手に入れた不幸な少女たちの友情と青春、そして運命を変える戦いの記録。
絵の方は原作をベースとしつつそこまで大きな変化はないですね。
声や動きが付いたことで主人公:彩の弱々しい感じが漫画よりもさらに強調されている印象がありますが。
問題のあのグロいシーンもテレビの限界近くまでしっかりと再現されています。
この辺は賛否両論が激しいですがw
また、アイドルのにじみんこと穴沢虹海や彩の兄貴:要が原作よりも目立っている。
にじみんは専用のEDが、次回予告は兄貴の一人舞台が用意されるなどプッシュされていますね。
両者全く違った形で視聴者からアニメ版で一番注目されたキャラ。
ストーリーの方は6巻中盤までは原作通りに、それ以降は原作をベースとしつつアニメオリジナル展開となっています。
原作で出て来たキャラが出て来なかったり、原作では出てなかったキャラが出て来るなど、漫画とはまた違った形で管理人との決戦が描かれています。
魔法少女サイトの独自評価・考察
エグイ・グロいなど、ハードな描写を徹底した魔法少女ものダークファンタジー。
アニメをよく観る人がこう聞くと最初に思い浮かべるのが2011年放送『魔法少女まどか☆マギカ』だと思います。
知らない人のために解説しておくと、『魔法少女まどか☆マギカ』とはそれまで確立していた魔法少女ものにダークファンタジーをプラスして新たなジャンルを切り開いた作品ですね。
魔法少女サイトもジャンル的にはそれ系。
ただ、よりハードな描写を徹底しているのが特徴です。
なので、エグイ・グロいといった描写が苦手な人にはおすすめしません。
1話目からその特徴が出ていますが、その後もこういった描写がちょくちょく出てきますから。
僕もこういった描写はあまり好きではないのですが、それと並行して常に救いや良心も描いている。
ハードであればあるほどその部分が光ってみえる。
それが狙いなのかなと感じます。
変わらない主人公の優しさ
常に他人を気遣う心優しい性格。
魔法少女になる前はもちろん、なった後も彩のこの善人という性格はずっと変わらない。
上でも少し触れましたが、魔法少女の中には力を手に入れたことでそれを私的に使う者も多い。
特に彩みたいに学校や家で毎日のようにひどい目に遭っていたのなら尚更やり返したとしても不思議じゃない。
なのに、いじめっ子や兄に全く復讐は考えず、さらにその人達を助けようとすらするほど。
また、魔法少女から攻撃を受けた際も最初のように人を殺してしまうなら反撃したくないとすら言い放ちます。
王道的な魔法少女の主人公をハードなダークファンタジーの世界に放り込んだかのような展開ですね。
敵はもちろん、魔法少女の中にも悪人、悪人じゃなくても善人じゃない人物が多いため、彩のこの性格は本作の清涼剤的な光の部分となっています。
優しさから生まれる少女たちの友情
また、彩の優しい性格は周りにも影響を与えます。
魔法少女はなにかしらの不幸を背負った少女たち。
それゆえに、心に傷を持ちそれが原因で極端な思考に走るキャラも多い。
そんな少女たちの中にも彩と交流することで考えを改める者も出てきます。
彩の優しさはまず最初に出会った魔法少女:奴村の復讐に捉われていた心を溶かす。
こういった女の子同士の友情も深く掘り下げている点も見逃せない。
友達を守る強さも身に付けていく
心優しいけれどどこか弱々しかった彩。
最初はこんな状況になったことに怯えて泣いてばかりいましたから。
それが友達が出来たことで徐々に強くなっていく。
争い事が嫌いで最初は相手を攻撃することさえ恐怖していたのに、友達を守るためならそんな怖さを押し殺して体を張るさえ躊躇わないほどに。
ただ優しいだけでなく心の強さも身に付けていく。
魔法少女サイトはそんな彩の成長物語でもあります。
魔法少女サイトのひとこと感想まとめ
魔法少女サイトはダークな世界観を突き詰めることでキレイなものをより美しく見せている作品。
>>魔法少女サイトも含むファンタジー漫画おすすめランキングを見る