
この作品は独特の世界観とテンポの良いトークによるギャグコメディの合わせ技にやられたすやまたくじです。
今回はそんな化物語から始まるロング放映アニメの感想レビュー評価・考察を。
目次
物語シリーズとは?
- ジャンル:青春怪異、漫才のようなコメディ
- 放送期間:2009年から複数シリーズ
- アニメーション制作:シャフト
- キャスト:阿良々木暦・神谷浩史、戦場ヶ原ひたぎ・斎藤千和、羽川翼・堀江由衣、八九寺真宵・加藤英美里、千石撫子・花澤香菜
- 備考:西尾維新の小説が原作、他に大暮維人のマンガ版もあり
青春におかしなことは『つきもの』だ。
シャフト制作により2009年夏(7月)放送のテレビアニメ『化物語』から始まる青春怪異シリーズ。
テレビ以外にも劇場版やスマホアプリでも展開されています。
原作は西尾 維新(にしお いしん)さんにより2006年から講談社BOXより刊行されている小説。
原作小説が1巻・2巻ではなく、化物語・偽物語といった表記のためアニメでもシリーズごとにタイトルに変わっています。
アニメではこれらを、
- 化物語(テレビ長編シリーズ第1弾)
- 偽物語(長編第2弾)
- 猫物語(黒)(テレビスペシャル番組)
- 〈物語〉シリーズ セカンドシーズン(長編第3弾)
- 憑物語(スペシャル番組)
- 終物語(長編第4弾)
- 暦物語(スマホアプリ)
- 傷物語(映画)
- 続・終物語(全6話のテレビシリーズ)
と、タイトルも放送形態も変わりながら展開したのでややこしい!
さらに、化物語・セカンドシーズン・終物語は一度のテレビ放映では全話放送されず、残りの話は後日インターネット配信やスペシャル番組で放送されたのでさらにややこしい!
このややこしさが観たことない人のハードルを上げ、一見(いちげん)さんお断りといった雰囲気を醸し出していると思います(汗)
よく分からない場合はとりあえずテレビシリーズ第1弾の『化物語』か、その前日譚となる『傷物語(劇場アニメ)』のどちらかを視聴し、面白ければ他も見るといった形をおすすめします。
人間強度が下がるから友達を作らない男子高校生が主人公
こちらが物語シリーズの主人公:阿良々木 暦(あららぎ こよみ)
地方都市にある私立高校に通う高校3年生です。
友達を作ると、人間強度が下がる。
というパンチが効いた理由で友人を作らず、物語開始時点ではほとんど友達がおらず、学校でも空気なような存在。
性格はクールでニヒルな皮肉屋さん(後に崩壊)
ただ、困っている人を放っておけないお人好しで、親しい人からは『正義マン』と呼ばれることも。
あと、
片目が髪で隠れている感じが(ゲゲゲの)鬼太郎みたい!
と思ったものですw
吸血鬼に出会ったことで人生が大きく変わった
そんな性格はちょっと変わっているけど、普通の高校生の阿良々木くんが春休みに上の画像の金髪の女吸血鬼:キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと出会うことで人生が大きく変わります。
その結果、吸血鬼の眷属(吸血鬼もどきの人間)となってしまいます。
第1弾の化物語では吸血鬼の状態で始まり、それに至る詳しい顛末は傷物語で描かれています。
もちろん、化物語から観ても問題ありません(作品自体はこちらが先ですし)
その辺についてもサラリとですが触れていますので。
怪異絡みの事件と関わることに
吸血鬼と出会って以降は怪異絡みの事件に巻き込まれることに。
この作品は大きくシリアスパートとギャグコメディパートに分かれており、シリアスパートでは怪異の謎解きと時には戦闘を行うことも。
ちなみに怪異とは都市伝説や信仰などによって生まれる生物とは違うカテゴリーに属する存在。
とはいえ、これは妖怪みたいなものと思って問題ないかなと思います。
『ゲゲゲの鬼太郎』や『妖怪ウォッチ』などの影響もあり、一般的には怪異よりも妖怪の方が知名度高いですしねw
吸血鬼・鬼・猫・猿・幽霊など、普通に妖怪として出てくる怪異なんかもいますし。
ただ、これらの作品のポップな雰囲気もある妖怪と比べると怪異の方が人に憑りついて呪ったりするなど、よりおどろおどろしい怪しげな存在(一部ポップなのもいますが)
また、蟹(かに)・蝸牛(カタツムリ)・蛇・蜂・ホトトギスといった妖怪ではあまり出てこないタイプが出てくるのも物語シリーズの怪異の特徴ですね。
エピソードごとにヒロインが変わる
この作品の基本パターンは主人公が怪異の災難に遭った少女達を救済するというもの(一部違うパターンもありますが)
ということで、そのエピソードごとにヒロインが変わるシステムとなっています。
それぞれの物語にはサブタイトルが付けられており、
- ひたぎクラブ
- まよいマイマイ
- するがモンキー
- なでこスネイク
- つばさキャット
- かれんビー
- つきひフェニックス
- しのぶタイム
といった感じで、そのサブタイトルに登場するヒロインの名前が入っている形(サブタイトルを変えて複数回登場するヒロインも多い)。
テレビ長編シリーズは複数のエピソードが入っているのでまたここがちょっとややこしいですね(汗)
エピソードごとにヒロインが変わるため、いろいろなヒロインとのやり取りが楽しめるのもこの作品の醍醐味。
ちなみにヒロインは、
- 戦場ヶ原 ひたぎ(せんじょうがはら ひたぎ):毒舌なツンデレ
- 八九寺 真宵(はちくじ まよい):センスある切り返しを見せる小学生
- 神原 駿河(かんばる するが):エロエロスポーツ少女
- 千石 撫子(せんごく なでこ):一見すると大人しそうで可愛い女の子
- 羽川 翼(はねかわ つばさ):ワールドクラスの頭脳と巨乳の持ち主
- 忍野 忍(おしの しのぶ):人間もどきの吸血鬼幼女
- 阿良々木 火憐&月火(かれん&つきひ):ブラコンシスターズ
他にもいますが、主要なところをまとめるとこんな感じ。
どれも一癖も二癖もある個性派揃い(一見、正統派に見えるキャラもいますが)
主人公の阿良々木くんはこういった少女達の怪異事件を解決し、その全てから好意を寄せられるというなんだかラブコメ的な展開!
ただ、本人はそのことに気付いてない&複数のヒロインが揃うことはあまりないため、ハーレム的なラブコメ展開にはなりません。
とはいえ、
困っている人を放っておけないタチと言いつつ、助けているのは全員女やないかーい!
とツッコミを入れたくなるほど、見事に100%女の子。
助けた相手がたまたま全員女の子だけだったのか?(1/2の確率なのに?w)
もしくはこの男、最初から女の子しか助ける気がないのかっ!?(だったらある意味すごいよ!)
そして、『友達を作ると、人間強度が下がる』と言っていたのに、全員と友達になってるしね!(対象は男だけかぁ~?w)
ヒロインとのやり取りは夫婦漫才のようなギャグコメディパート
この作品、怪異絡みのシリアスパートでは緊張がある謎解きや戦闘、ときにはホロリとくるような悲しい展開も見せるのに、ギャグコメディパートではそれをぶっ壊すような笑いをブチ込んできます。
それはもう、
別作品かっ!?
とツッコミたくなるほどに(笑)
ヒロイン達のボケに対して主人公がツッコミを入れる夫婦漫才のようなギャグ会話シーンが延々と続く、ときには顔芸や激しいリアクションも織り交ぜるなど、コメディシーンだけでも楽しめるとなっています。
というより、総合するとシリアスとコメディ半々ぐらいになるんじゃないか?と思わせるぐらいコメディに時間を割いています(笑)
特にセンスある切り返しを見せる小学生幽霊:八九寺 真宵(上画像)とのやり取りは秀逸ですね。
日頃はツッコミ役に回る阿良々木くんも八九寺とのやり取りの時は激しいボケを繰り出すことも多い。
ちなみに上画像の八九寺の後ろから襲い掛かっているのがその阿良々木くんです。
このように物語中盤以降は八九寺を見ると襲い掛かりセクハラを繰り返すのが鉄板ネタとなっています(一応、理由あってギリギリ合法w)
もはや初期のクールでニヒルな皮肉屋さんのキャラは崩壊しています(笑)
アートを感じさせる独特の世界観
これが物語シリーズの街の風景。
なんだかもうアートです。
このシーンだけが特別なんじゃありませんよ。
この作品ではいつも街や建物、風景などはこんな風にアートを感じさせる独特の描き方をします。
しかも、
街中なのに人が一人もいない!
これもこのシーンだけでなくいつもそうです。
主要キャラ以外はまともに描かないアニメは多いですが、それでもモブや脇役などは少しは出てきますからね。
この作品では脇役は少し出ますが、モブは一切が出てこないのも大きな特徴となっています。
学校や教室のシーンでもモブが出てこないぐらいですから。
ちなみにこちらが建物の中(主人公の自宅)の絵
建物の中もやっぱりアートチック。
生活感が無さ過ぎてツッコミどころ満載です(笑)
なぜ、家の中なのにスタジオのような照明が付いているのか?
そして、
端っこにある複数のハシゴはなんに使うんだよっ!?
と聞きたい。
とりあえず、オシャレだけどすこぶる住み心地は悪そうですw
物語シリーズの独自評価・考察
今回は上でかなり語ったのでここは短めで。
この作品に関しては唯一無二という言葉が似合うかなと思います。
アートのような独自の世界観と怪異の設定が強烈ですからね~
正直、この二つだけでも個性は十分に発揮していますが、そこに軽快なやり取りと顔芸やリアクションを絡めた漫才のようなギャグコメディパートも入ってくる。
この3つが揃ったことでさらに特別感が増したましたね。
シリアスパートが重ければ重いほど、このギャグコメディパートのギャップも活きてきますから。
主人公だけでなく、ヒロインも顔芸を繰り出したときはかなりインパクトがありました(笑)
ひとこと感想
物語シリーズは独特の怪異設定とアートのような世界観、夫婦漫才のようなギャグコメディも楽しめる作品。