
月がきれいを観たときに『これは純文学か?(千鳥:大吾)はい、純文学です。(ピース:又吉)』というアメトークでのやり取りを思い出したすやまたくじです。
今回はそんな純文学な恋愛アニメ『月がきれい』の感想レビュー評価・考察を解説。
目次
月がきれいとは?
公式チャンネルで1話丸ごと見れます
- ジャンル:恋愛、学園、青春
- 放送期間:2017年・全12話
- アニメーション制作:A-1 Pictures
- キャスト:安曇小太郎・千葉翔也、水野茜・小原好美、園田涼子・東山奈央、西尾千夏・村川梨衣、比良拓海・田丸篤志
- 原作:オリジナル
『I love you をそう訳したのは、太宰だったか、漱石だったか……』
といったキャッチコピーを付けるなど、純文学のような世界観でピュアな恋愛を描いているのが特徴です。
舞台は埼玉県川越。
どこか懐かしくピュアな中学生の恋愛を1クールを使ってじっくりと描いていく。
しっかりとその結末まで描かれたのが大きいですね。
やっぱり恋愛ものはその結末が分からないともやもやしますから。
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小説家を目指している主人公
主人公は小説家を目指している本好きの文学少年。
特に太宰治や夏目漱石といった純文学の小説が好きな中学3年生。
作中でもちょいちょい太宰治のエピソードを放り込んできます。
中学生でどんだけ太宰治好きなんだよっ!?
というぐらいに(笑)
この太宰エピソードが意外とクセになります。
性格の方は文学少年らしくおとなしめでクラスでも目立たないタイプ。
陸上部のヒロイン
主人公とは正反対にヒロインは陸上部所属の体育会系の中学3年生(主人公と同じクラス)
しかも、陸上の中でも一番才能がある人がやると言われる短距離専門&複数回入賞している実力者で
スポーツエリートですやんっ!?
というレベル。
そんなヒロインなので主人公よりも目立つし、そして異性にもモテる。
なので、正反対の二人の恋愛物語なのかな?
と思ったらそうでもなく、ヒロインも性格は緊張しいで周りの空気に合わせてしまう引っ込み思案な面も。
そんな二人が純文学のような恋愛を
中学生の恋愛ということで、最初はラブコメ漫画のような展開になるのかな?
と思っていたのですが全然そんなことなし!
コメディ感なし、ファンタジー感なども一切なしの純文学のような世界観で描くピュアな恋愛物語となっております。
正直、僕のような大人が観ると、
は、恥ずかしいーーーーーーー!!!
と顔を手で覆いたくなるようななんだか恥ずかしくなる作品(笑)
また、教室じゃまともに会話できないのにLINEになると急に会話が弾むなど、
純粋すぎる二人のやり取りを見ていると、
まぶしいまぶしいまぶしいまぶしいまぶしいー!
と目の前で太陽拳をされているような直視できない眩しさを感じることも(笑)
中学生感がハンパない
あと、月がきれいの中学生感はハンパないですね。
主人公やヒロインはもちろん、その他のキャラクターや中学校の雰囲気などなど。
僕なんかは中学を卒業してずいぶんと経ちますが、それでも『分かる分かる』といった場面やエピソードが随所に出てきますから。
男子女子それぞれが別に固まって会話するところや男子が意味もなくジャレつくところなど。
特に男子の方は自分もやったなという場面がチラホラ。
最近のアニメでは男女でグループになっているパターンが多いですが、自分が学生だった頃はそんなのほとんど見たことなかったですしね(今は多いのだろうか?)
あと、下の画像のように主人公がちょいちょい電気の紐でシャドーボクシングするシーンも
かなりムズ痒い!
これもやったわという男性は多いのでは?(僕はよくやっていた)
このシーンも出てくると恥ずかしさで顔を手で覆いたくなります(笑)
月がきれいの独自評価・考察
コメディ要素がない恋愛アニメも珍しいのに、そこに純文学を足している
これだけでも他の作品との違いをビンビンに出していますね。
そして、
I love youを月がきれいと訳したのは太宰治だっけ…
といったエピソードをちょいちょい放り込んでくるなど、純文学の中でも太宰治色を強く出そうとしている点も見逃せません(ちなみに訳したのは夏目漱石)
今だったら太宰治よりも村上春樹あたりの方が知名度も高いし人気なので。
まあ、村上春樹の世界観は独特なので扱いにくいというのもあるでしょうが、
僕は『月がきれい』が太宰治推しなのは芥川賞作家:ピース又吉先生の影響が大きいんじゃないかなと思います。
『火花』で芥川賞を取っただけでなく、200万部以上という異例の大ヒットで知名度抜群ですからね。
又吉先生が純文学好き、その中でも特に太宰治好きというのはテレビでよく話しているので知っている人も多いでしょうし、
又吉先生経由で太宰治の存在を知った人もいるぐらいですし。
なので、僕の中では『月はきれい』は太宰治+現代版:太宰治といわれる又吉直樹(台湾でこう紹介されていた)の純文学の世界観を描いた恋愛アニメと勝手にニラんでいます。
又吉先生に『これは純文学ですか?』と聞けば、『はい、純文学です。』ときっと答えてくれるでしょう(笑)
月がきれいの感想レビュー評価・考察のまとめ
月はきれいは純文学のような恋愛と中学生のあるあるで、なんだかとっても恥ずかしくなるアニメ
「月がきれい」は漱石の言葉でもないですね。
戦後結構経ってからそういう話が根拠もなく出てなぜか膾炙してますが。
ただ、文学好きといいつつ中三、
しかもそこまでものを調べるタイプではない(自分の好きなはずの太宰も古書店のお兄さんにお勧めされていたりしたような)主人公ですから、
好きな女の子を前にそういう風に思ってもおかしくない気がするので、昨今よくアニメで見かける「月がきれい」ネタの使い方としてはうまいなと思いました。
(これが高校生の天才キャラ設定で同じ事を思ったりドヤ顔で言ったりすると、「ええ、お前そんなん信じてるん!?」ってなりますが)
スタッフの人も、これが漱石の言葉である根拠はないことは知っていて、あえて使ったのかもしれませんね。