
途中からのスタイルチェンジ漫画はけっこう当たりが多いと思うすやまたくじです。
今回はそんなマンガ&アニメの一つ『ヴィンランド・サガ』の感想レビュー評価・考察を。
目次
ヴィンランド・サガとは?
- ジャンル:歴史、アクション、探検
- 作者:幸村誠
- 掲載誌:週刊少年マガジン⇒月刊アフタヌーン
- 連載期間:2005年~
- テレビアニメ:放送日未定
史実と創作が交錯する歴史大河ロマン。
欲しいものは土地も食料も女も奪う。
当時世界を席巻していたヴァイキングの生き様から始まる先が読めない壮大なストーリー。
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ヨーロッパを席巻したヴァイキング
西欧諸国 ロシア 北アフリカ ギリシア トルコ 中東に至るまで
彼らはあらゆる地に現れ 戦い 略奪し 去っていった
後の世にヴァイキングと呼ばれる者達である
ときは11世紀初頭のヴァイキング時代。
海の覇者として世界を席巻していたヴァイキング達の全盛の時代。
物語はそんなヴァイキングの中の一つの集団『アシェラッド兵団』を中心に展開していきます。
信ずるものは何かと問われ、あるヴァイキングは答えた
『我は我が力を信ず。他の何ものをも信ぜず』
信じるものは己の力。
力を持つものが力がないものから奪うのが世界の掟。
そう信じて疑わないのがヴァイキング。
アシェラッド兵団もそれにもれない蛮族の集団。
各地で襲撃や略奪を繰り返し、傭兵として戦にも加わる。
ただ野蛮なだけなだけでなく、川や海をうまく利用し、恐るべき速度で襲撃や略奪を行うという強さも併せ持っている。
さらに、欲しいものは相手が領主であっても奪う。
首領のアシェラッドは強いだけでなく頭も切れる策謀家。
アシェラッドの策謀や知略によってさらに兵団が活きるという敵にすると非情に厄介な存在。
主人公は父親の復讐に燃える少年:トルフィン
アイスランドの戦士トールズの子トルフィン
我が父の剣にかけてアシェラッドに決闘を申し込む
主人公はそんなアシェラッド兵団に所属する少年:トルフィン。
2本の短剣を武器に兵団の中でもトップクラスの強さを持つ戦士。
が、兵団に所属しながらも首領であるアシェラッドの命を常につけ狙う。
その理由は幼い頃に父親をアシェラッドに殺されたから。
トルフィンの父はかって『ヨームの戦鬼(トロル)』と呼ばれる圧倒的な強さを持ちながらも、本当の戦士とは何かを見出し戦場から身を引いた男。
その後は争いを好まず平和に暮らし、戦いになっても不殺の精神を崩さない人徳にあふれた男でした。
そんな父はトルフィンらの命と引き換えに自らの命を差し出す。
よくも!!よくも父上を殺したなァァアアッ!!
お前も殺してやる!!絶対に殺してやる!!ブッ殺してやるぞ!!
父のおかげで命が助かったトルフィンですが、そのまま故郷であるアイスランドに帰らずアシェラッド兵団へと残る。
父の仇であるアシェラッドを討つために。
ここから始まるトルフィンの復讐の物語。
ヴィンランド・サガのアニメ版と原作漫画を比較
- 放送期間:未定
- アニメーション制作:ウィットスタジオ
- キャスト:未定
情報が少ないのでまたなんとも言えませんが、
一番気になるのはアニメ化が決定した時点で20巻以上ある原作漫画をどう映像化するのか?という点。
せいぜい2クールが主流の現在の深夜アニメでは20巻以上をそのまま映像化するのは無理ですからね~
そもそも20巻で終わりでもありませんし。
長さ的にちょうどいいのは最初のクライマックスまでですが、これだとこの作品の本質を描くことができないのですよね。
となると、第二のクライマックスを駆け足で描くのが一番アリそうですが、これでも2クールでもかなり苦しい。
情報が判明次第、随時情報を追加していきます。
ヴィンランド・サガの独自評価・考察(ネタバレ注意)
歴史フィクションと壮大なストーリー。
それがヴィンランド・サガを一言で表した評価。
ここからはそこに注目して感想や考察を語っていきます。
なお、テーマ的にネタバレは避けられないので、ここから先を読む際は注意してください。
史実の歴史をベースとしている
ヴィンランド・サガは史実の歴史を元としたフィクション漫画。
11世紀初頭の海外で、しかも日本ではあまり馴染みがないヴァイキング時代が舞台となっている。
なので、歴史を知るまでは僕も最初は完全なフィクションだと思っていました(笑)
序盤のストーリーは史実のイングランド VS デンマーク(ヴァイキングの多くもこちらに所属)の戦争をベースに物語が進行していきます。
他にも、歴史に名を残した人物も数多く登場する。
例えば、主人公のトルフィンはソルフィン・ソルザルソンというアイスランドの探検者をベースしています。
史実では移民を率いて新大陸ヴィンランド(今の北アメリカ)への移住を計画した人物。
作中のトルフィンとはかなり違いますが、ストーリーが進んでくると史実に近い人物へと変化していく(後述)
他にはこちらのクヌートが有名どころですね。
デンマーク王スヴェンの次男ですが、作中では女に見える容姿と臆病な性格で頼りない。
が、史実では北海帝国(デンマーク・イングランド・ノルウェー・スウェーデンの一部)を築いた歴史に名を残す王様。
このクヌートもストーリーの進行と共に史実のイメージに近い人物へとなっていきます。
他には、日本でもアニメ『Fateシリーズ』で有名になったアーサー王のモデルとなったとされる将軍アルトリウスの子孫を名乗る人物なども登場。
とまあ、史実の歴史の展開と合わせ、どのキャラが実際にいた人物をベースにしていて、また史実と比べてどうアレンジしているのか、そしてどう変化していくのかといったことも楽しめる作品です。
突然の幕切れ
ヴィンランド・サガは、ヴァイキングや戦士トルフィンの活躍を描く歴史アクション漫画だと最初は思ってました。
特に序盤は戦の連続でトルフィンもバトルで数多く活躍しますからね。
テレビCMや他の漫画ブログの宣伝なんかでもヴァイキングの部分を一番アピールしていましたし。
なので、アシェラッド兵団が大きくなっていくサクセスストーリーを軸に、最終的にトルフィンが敵討ちを果たして終わる。
もしくはそこからトルフィンが新リーダーとなって新たな傭兵団として活躍していくのを描いていくのかなと思ってました。
そんな予想を裏切る突然の幕切れっ!?
これはホント予想外でしたね~
全くそんな素振りもないところでドン!という展開でした。
侠気のトルフィンと呼ばれ、戦士としてブイブイ言わせていた主人公が突然何の前触れもなくヴァイキング引退へと追い込まれる。
で、ヴァイキングの次になったのが奴隷。
そんなバカなっ!?
という展開です。
突然の幕切れも度肝を抜かれましたが、その後の展開も予想の斜め上を行き過ぎで…。
しかもですよ、この奴隷生活がコミックスで何巻も続くというさらにサプライズ!
それまでのバトル要素がなくなり、土地を開墾するなどのハッキリ言ってかなり地味な作業。
このゆるやかな奴隷編が退屈で、正直、ここで読むのやめようかなと頭によぎったぐらいですから(笑)
が、このゆるやかな奴隷生活でトルフィンは自分自身を見つめ直し、新たな生きる目標を見つける。
読むのやめなくて良かったですw
少年が自分の生き方を見つける壮大なストーリー
(自分達を脅かす者がきたら)オレは、逃げる
かっては戦士として自分の願望を力で叶えてきたトルフィンが、奴隷生活を経て180度人生観を変える。
殺して奪ってきた人生を後悔し、暴力との決別を誓う。
そうして全てを背負い『本当の戦士』を目指していくこととなります。
かっての父:トールズがそうしたように。
長い年月をかけてのこの展開はホロリときました。
お前とは違うやり方で平和な国を作るよ
お前の作る世界では生きていけない人達のために
そして、復讐の旅を終えたトルフィンが次に目指すのは『戦争も奴隷もない平和な国』
力で解決する国で生きていけない人達と自分自身のために。
そのためならどこまでも逃げて、力で解決する人達が追って来れない土地で国を作ると決意して。
…はるかな西…大海の向こうにヴィンランドという名の…土地がある
そこは暖かく豊かで…奴隷商人も戦の炎も届かない遠い土地だ
そこからならきっとあなたも苦しまずに生きていける
アルネイズさん、オレ達と一緒にそこへ行こう
ヴィンランドに平和な国を作ろう
で、その平和な国を作るための候補として挙がるのが作中で幻の土地と呼ばれる『ヴィンランド(今の北アメリカ)』ですね。
13巻でその夢を抱き、14巻でそれを決意し宣言する。
長いストーリーをかけてやっと辿り着いたタイトル『ヴィンランド・サガ』の意味。
そして、ここで史実のソルフィン・ソルザルソンと同じ道を辿ることとなります。
ふざけるなよ…
「心を改めました」で何もかも丸く収まると思ってンのか!?
そんな簡単な手続きで過去が帳消しになるんだったら、この世は悪党どもの天下だ!!
私の家族の無念はどう晴らす!!
私の怒りはどこへ行けばいい!!
が、作中のトルフィンはヴァイキングとして多くの者の命を奪ってきた身。
家族を殺されたことでかっての自分と同じように復讐に燃えると人物と出会うこともある。
それでも不殺を貫き、許し請ってでもヴィンランドに平和な国と作るために生き延びる。
ヴィランド・サガの本当の旅は14巻から始まります。
ヴィンランド・サガのひとこと感想まとめ
ヴィンランド・サガは序章が非常に長い漫画。
まずは14巻まで読んで判断して欲しい。